アメリカの大学に編入するメリット・デメリットや手順を紹介
「アメリカの大学への進学を検討しているけど英語力に自信がない」「英語力はあるけど成績が足りない」といった状況から、出願をためらっている方も多いかもしれません。
そのような場合、入学可能な大学へ進学後、希望するアメリカの大学へ編入するという選択肢があります。
今回は、アメリカの大学に編入するメリット・デメリットやその手順を紹介します。
アメリカの大学に編入して可能性を広げたい方は、最後までご覧ください。
目次
アメリカで大学への編入が柔軟に行われている理由
アメリカでは、2年制大学の卒業後や4年制大学への進学後に、別の大学に編入する生徒も少なくありません。また、4年制大学卒業後に、第二学士(セカンドバチェラー)で編入するケースもあります。
編入制度を利用すると、より高いレベルの大学を目指せたり、専門分野の学びを深めたりすることができます。
アメリカで他大学への編入が柔軟に行われているのは、大学間で単位を移行できるシステムが整っているからです。
大学によって規定は異なるものの、編入先の条件を満たしていれば、世界中のどの大学からであっても単位の移行が可能です。
なお、州立の4年制大学への編入を目指す場合、志望校と同じ州内にある2年制大学を卒業すると、単位認定のガイドラインが共通しているので、手続きをスムーズに進められます。
アメリカの大学の編入制度の特徴
アメリカの大学には、編入へのルートが学生の状況に合わせて用意されています。
たとえば、以下のような進路の選択が可能です。
【編入制度を利用する進路の例】
- アメリカの2年制大学から4年制大学
- アメリカの4年制大学からほかの4年制大学
- 海外の大学からアメリカの大学
- (海外またはアメリカの)大学卒業後にアメリカの大学(セカンドバチェラー)
アメリカの大学では、柔軟性・多様性に優れたカリキュラムや教育制度が整備されており、ご自身に合った進路を自由に選べます。
大学内の多様性の向上につなげるためにも、世界各地から異なるバックグラウンドを持つ編入生が受け入れられています。
アメリカの大学に編入する4つのメリット
ここまでは、アメリカの大学で編入制度が普及している理由を紹介しました。
それでは、アメリカの大学に編入すると、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。
ここからは、4つのメリットを紹介するので参考になさってください。
メリット①取得した単位を活用できる
アメリカの大学の編入制度では、すでに取得した単位を活用しつつ、専門分野の学びを深められます。
移行できる単位数は編入先の大学により異なりますが、最大60単位を移行できる場合もあります。
なぜなら、アメリカの大学では、生徒が進路を変える前提でカリキュラムが組まれているからです。
アメリカの大学では、1・2年次に一般教養を学びつつ自分の好きな分野を探求し、専攻を決定していきます。
その際に専攻や学部を変更できるのはもちろん、学びたい分野のカリキュラムが充実しているほかの大学へも編入できるので、最適な進路を選択できるでしょう。
メリット②将来を見据えてスキルを身につけられる
将来を見据えたうえでキャリアに役立つスキルを身につけられるのも、アメリカの大学に編入するメリットとして挙げられます。
入学前に、将来就きたい職業がはっきりと決まっている方はそれほど多くありません。
入学後に「働きたい職業が明確になった」「大学院で研究をさらに極めたい」といったふうに、卒業後の展望が見えるタイミングは人によって異なります。
希望の職業に就くために必要なスキルを身につけたうえで、その分野へのインターンシップ制度が充実している大学に編入すれば、将来の夢により一層近づけます。
メリット③トータルの費用を抑えられる
アメリカの(コミュニティカレッジと呼ばれる公立)2年制大学から編入すると、最初からアメリカの4年制大学に進学するよりも、支払う学費の総額を抑えられます。
州によって異なりますが、2年制大学の授業料は4年制大学と比べると、3分の1~半分程度です。
2年制大学は地域住民に教育を提供する役割を担っており、望めば誰でも学べるように授業料を安く設定しているからです。
4年制大学に4年間通うよりも、2年制大学から3年次になるタイミングで編入すれば、学費の負担を減らせます。
メリット④多様な価値観に触れられる
日本の大学からアメリカの大学に編入すれば、多文化への理解や協調性をより一層深められます。
アメリカの大学では、世界各地から多様な学生を受け入れており、グローバルなコミュニティに参加できるうえ、積極性を重視する環境で過ごせます。
このような環境で学ぶと多様な価値観を知ることができ、国際的な仲間もできるので、将来世界で活躍するきっかけにもなるでしょう。
また、アメリカの教育環境は世界のなかでも高水準であり、ツーリズムやジャーナリズム、舞台・演劇やダンスなど、日本ではまだあまり大学の専攻として設置されていない分野も学べるため、視野を広げられます。
アメリカの大学に編入するデメリット
アメリカの大学への編入には、多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
ここからは、2つのデメリットを紹介します。
デメリット①授業についていけないおそれがある
日本から編入した場合、編入先の大学の授業についていけず苦戦する可能性があるという点には、留意しておきましょう。
座学の授業が多い日本の大学と比べると、アメリカの大学はディスカッションを展開する参加型の授業がほとんどです。
英語で意見が活発に交換されているなかで、会話を聞き取れなかったり発言できなかったりすると、置いていかれている感覚に陥ってしまいます。
3年次編入の場合、すぐに専門分野を履修し始めることになるので、専門用語を英語で理解できないと単位を取れなくなります。
ネイティブスピーカーの英語のレベルについていけるように、スピーキングやリスニング能力を向上させる努力はもちろん、専門用語の学習、アメリカ式の授業に慣れるのも欠かせません。
デメリット②編入前に取得した単位を移行できない可能性がある
日本の大学からアメリカの大学への編入時には、編入前に取得したすべての単位を移行できるとは限りません。
取得した単位をどれくらい移行できるのかは、編入先の大学によって異なります。
心理学や政治学などの一般教養科目の単位は認められやすい一方で、英語系の科目は認められないケースが多くあります。
授業で学ぶ英語は、日本では「外国語」という位置づけになるのに対し、アメリカでは「母国語」になり、必修科目として履修する科目が設定されているからです。
アメリカの大学への編入をお考えの方は、単位移行は編入先の大学側の判断によること、また自分の想定よりも認められる単位数が少ない場合もあることを理解しておきましょう。
アメリカの大学に編入する際の流れ
ここからは、アメリカの大学に編入する際の流れを紹介するので、参考にしながら準備を進めてみてください。
ステップ①なぜアメリカの大学に編入したいのかを考える
まずは、アメリカの大学に編入したいと思った経緯をあらためて考えてみましょう。
また、「アメリカの大学でなければならない理由」や「編入後の将来像」「在籍している大学では不十分な理由」など、再考しなければならないことは多くあります。
理由や目的がはっきりしていないと、編入先の大学で不満が溜まり、最終的に後悔する結果になるかもしれません。
また、編入の理由や目的が明確になれば、編入先の大学を選ぶ基準も定まるので、ご自身に適した編入先を見つけられます。
ステップ②編入を検討している大学の情報を収集する
アメリカの大学に編入したい理由や目的がはっきりしたら、編入に関する情報を集めます。
各大学のホームページに、提出書類や出願期日などの編入に関する情報が掲載されています。
Admission(入学審査)のページなどにあるTransfer(編入生)やInternational(留学生)向けの情報を確認しましょう。
また、各大学のホームページで「Cost of attendance」や「Tuition fees」と検索すると、学費などの概算費用を確認できます。
当サイトを運営するアリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部でも編入を受け入れております。詳しくはお問い合わせください。日本人スタッフが個別にサポートさせて頂きます。
ステップ③提出書類や出願条件を確認し、準備する
編入を希望する大学が決まったら、提出書類や出願条件を確認し、準備を進めていきます。
以下で、アメリカの大学に編入する際に必要な書類を説明します。
申込書(願書)
申込書には、「大学専用の申込書」あるいは「Common Applicationによる申込書」の2種類があります。
大学専用の申込書は各大学が独自に作成しているため、フォーマットが大学によって異なります。
アメリカの共通願書システムであるCommon Applicationによる申込書は、志望校の募集要項に該当していれば、同じ申込書を複数の大学に送ることが可能です。ただし、提出書類の種類が増えるので、予めご留意ください。
成績証明書
成績証明書は提出書類のなかでも、もっとも重視される書類と言っても過言ではありません。
在籍している大学の成績だけではなく、高校3年間の成績が必要になるケースもあります。
成績証明書では、各科目の成績をもとに計算された「GPA(Grade Point Average)」というアメリカ式の算定基準で成績評価の数値が審査されます。
編入を希望する大学や学部によって必要なGPAの目安は異なるので、各大学のホームページから必要な数値をチェックしておきましょう。
エッセイ
エッセイも、アメリカの大学に編入する際に重視される書類です。
出題されるエッセイのテーマや文字数は大学によって異なりますが、いずれにせよ編入への熱意や人柄、考え方などを英語でわかりやすく書かなければなりません。
エッセイでは、たとえば在籍している大学への不満といったネガティブな内容ではなく、編入先の大学への希望や将来像などポジティブな内容を書くのがコツです。
GPAだけでは測れない、学業以外の課外活動への取り組みや学習意欲などもアピールできます。
TOEFLやIELTSのスコア
アメリカの大学に編入するには、英語力証明のためにTOEFLあるいはIELTSなどのスコアを提出します。
TOEFLはアメリカの大学を中心に採用されている英語力テストで、IELTSはアメリカの他、イギリスやカナダなど英語圏の大学で広く採用されている英語力テストです。
リスニングやリーディングだけではなく、ライティングとスピーキングのテストも行われ、アカデミックな場面で求められる英語のスキルが測られます。
編入を希望する大学に必要なTOEFLやIELTSのスコアを把握しておき、そのスコアに到達するための対策を講じましょう。
【関連記事】
TOEFLとIELTSの違いは?難易度や試験内容について
推薦状
アメリカの大学に編入する際に、推薦状の提出が必要な場合もあります推薦状は、在籍している大学の教授に書いてもらったものを、大学や学部によって1~2通ほど用意する必要があります。
自身の人間性や持っているスキルなどを編入先の大学に伝えるために、客観的に評価した内容を記載してもらいます。
ステップ④在籍している大学でよい成績を収める
アメリカの大学への編入準備を進めつつ、在籍している大学でよい成績を収めることも不可欠です。
前述したように、提出書類のなかでも成績証明書は特に重視されます。
学業はもちろん、部活動やボランティアなど課外活動にも積極的に参加しましょう。
ステップ⑤必要な書類を準備して出願する(オンライン等での願書提出、書類の提出と出願料の支払い)
編入時に必要な書類が準備できたら、編入を希望する大学に願書と書類を提出します。
なお、出願時には100ドル程度の願書申請料/出願料を支払うのが一般的です。
大学によっては無料のところもあります。
提出後、しばらくして合否の通知がくるので、合格したらビザの申請手続きに必要な入学許可証を受け取り、編入の準備を進めましょう。
アメリカの大学に編入する際にかかる費用の目安
アメリカの大学でかかる費用は、編入先の大学によって変動します。
1年間の授業料は、州立大学の場合150万~400万円程度、私立の名門大学になると600万~800万円程度です。
これにくわえて、食費や寮費などの生活費に年間100万~150万円程度、さらに教材費や渡航費、海外保険の費用も別途かかります。
編入制度を利用すれば、最初からアメリカの4年制大学に進学するよりも費用を抑えられるとはいっても、かなりの金額が必要です。
しかし、経済的な事情で編入を断念するくらいであれば、留学生や編入生が利用できる奨学金の利用を検討してみてください。
支給額は学生の能力や経済状況にもとづいて決められるので、返済不要になる場合もあります。
事前に奨学金の条件を確認したうえで、在籍している大学で優秀な成績を収め、奨学金獲得の確率を高めましょう。
また、アメリカの大学を卒業することで、将来的な収入などによるリターンが期待できるため、自己投資と考えることもできます。
アメリカの大学に編入できる時期
アメリカの大学では、多くの場合で学期ごとに編入できます。
大学によって「セメスター制」と「クォーター制」のいずれかの学期を採用しており、それぞれ以下のような制度です。
【アメリカの大学の学期】
セメスター制 | クォーター制 |
8~12月(秋学期)、1~5月(春学期)の2学期制 | 9~12月(秋学期)、1~3月(冬学期)、3~6月(春学期)、6~8月(夏学期)の4学期制 |
セメスター制の大学の場合は年2回、クォーター制の大学であれば年4回の編入のチャンスがあります。
※最近は上記の中間にあたる「トライメスター(3学期制)」を採用している大学もあります。
アメリカの大学に編入するメリット・デメリットを把握したうえで制度を活用しよう
今回は、アメリカの大学に編入するメリット・デメリットや、その流れを紹介しました。
アメリカでは、大学進学後に別の大学への編入を選択する方もいます。
編入制度が普及しているのは、大学間で単位を移行できるシステムが整っているからです。
編入制度を利用すると、専門分野の学びを深めたり、学費の負担を減らしたりすることができます。
ただし、編入前に取得したすべての単位を移行できるとは限らないので、志望校のカリキュラムを調べておきましょう。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部は、編入制度にも対応しております。
将来の編入先の候補として本校をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部について
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部(以下、サンダーバード)は、1946年創立以来、75年以上の歴史を持つ、グローバルビジネスおよびグローバルマネジメントに特化した、高等教育機関です。
キャンパスには世界中から生徒が集まっており、その様子は「小さな国連」と呼ばれるほど。ダイバーシティな環境下で学ぶことにより、グローバルな視点や多文化への理解、協調性、そして将来のグローバルリーダーとしての力を養えます。
サンダーバードの卒業生たち
サンダーバードのアラムナイ(卒業生)は、世界約145ヶ国45,000人以上の卒業生からなり、その結びつきは他のビジネススクールでは見られない、非常に強固なものとして、世界的にも有名です。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校の紹介
サンダーバードが提供している「グローバルマネジメント学」「国際貿易学」の学士号を、日本でも学べる新プログラムがスタートしました。
日本国内にいながら、世界トップレベルのマネジメントスクールの授業を受け、アメリカの正規の大学の学士号を取得できます。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校は「外国大学の日本校」です
広島大学と75年以上の歴史をもつアリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院が連携した学士号プログラムです。
本プログラムは文部科学省により「外国大学の日本校」として指定を受けております。
「外国大学の日本校」については、文部科学省のホームページをご覧ください。
外国大学等の日本校の指定:文部科学省
プログラムについて
取得できる学士号はアリゾナ州立大学の「グローバルマネジメント学」と「国際貿易学」の2種類です。
「グローバルマネジメント学」では、グローバルな環境で活躍するためのマネジメント力を学べるプログラムとなっています。
「国際貿易学」ではグローバルにビジネスを行うための政治的・文化的・経済的側面への理解を深めながら、国際貿易分野で活躍するために必要なスキルを学びます。
本プログラムでは、1・2年次を広島大学のキャンパスで、3・4年次をアリゾナ州で学びます。 広島を含め、4年間全ての授業が英語で行われますので、国内にいながらでもグローバルな環境で世界有数の大学によるグローバルマネジメントを学ぶことが可能です。
また、「国際貿易学」の学位取得後はアメリカでのOPT(Optional Practical Training)を取得し、卒業後アメリカで3年間の就労資格を得られます。
サンダーバードの国際貿易学はQS 国際貿易学ランキングにて「世界第1位」を獲得
サンダーバードの国際貿易学は、QSワールド大学ランキングの国際貿易学専攻で世界第1位を獲得しました。
QSワールド大学ランキングでは、修士課程(大学院)を専攻別に分け、以下の各項目について評価・選定したランキングを毎年発表しています。
- プログラムの内容
- 革新的な教育方法
- 学生が就職できるように大学がどのように準備しているか
サンダーバードは上記の各項目で、最高評価を獲得しています。
卒業後の進路について
サンダーバードの卒業生は、国際機関、グローバル企業をはじめ、各国政府やNPO団体など多種多様な分野において、世界を舞台に活躍。
在学中の進路支援にも力を入れており、世界中の卒業生ネットワークを活用した進路支援を行っています。
また、本学の修士課程であるMGM(Master of Global Management)プログラムへ進学する学生も多くいます。
※MGMとは、通常のMBAではなく、全てのクラスがグローバルな視点で構成され、 “第4次産業革命の時代に必要とされ、本当の意味でグローバルに活躍できる真のリーダーを育てる”ことを目的とした修士号です。
将来の選択肢を広げるためにも、グローバルな視点で構成されたプログラムを日米両キャンパスで学べるユニークな形の留学に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
サンダーバードでは、日本オフィスにて日本人スタッフが個別に留学サポートの相談を受け付けています。将来グローバルに活躍したいなど、海外にご興味のある学生の方は、ぜひご相談ください!
【外国大学の日本校認定】アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部 広島大学グローバル校の詳細はこちら
コラム監修者
<略歴>
信州大学グリーン社会協創機構特任教授。アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院MBA。ハーバード大学大学院サステナビリティ専攻修士。東京大学教養学部国際関係論専攻卒。東証プライム上場企業、機関投資家、スタートアップ企業、ベンチャーキャピタルの社外取締役やアドバイザリーを多数務める。環境省、農林水産省、厚生労働省のESG分野の委員会委員を複数兼任。Jリーグ特任理事、ウォーターエイドジャパン理事、MASHSING UP理事。留学経験を活かしたグローバル視点での戦略立案を得意とする。国内外のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌で解説を担当。
<主な著書>
『ネイチャー資本主義』(PHP新書)
『超入門カーボンニュートラル』(講談社+α新書)
『データでわかる 2030年 地球のすがた』(日経プレミアシリーズ)
『ESG思考』(講談社+α新書)