海外の大学を卒業すると年収が上がるというのは本当?
近年、グローバル化にともなって、海外の大学への入学希望者が増加しています。
「日本の大学を卒業するよりも高収入を目指せる?」といった疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
そこで今回は、海外の大学を卒業すると年収が上がるというのは本当なのか、また年収が上がるとされている理由を国内の大卒者との比較を交えて紹介します。
海外の大学への進学を検討している方は、進路を決定する際の参考になさってください。
目次
留学経験者は留学未経験者よりも年収が高いのか?
「長期留学にはお金がかかる」「帰国のタイミングによっては就職活動に影響が出そう……」などの不安から、海外の大学への進学を迷っている方も多いのではないでしょうか。
実は、留学経験者の生涯年収は留学未経験者と比べると、最大1億円程度の差が出るという研究結果があります。
なお、一橋大学の教授による研究結果の詳細は後述します。
留学すると、学費だけではなく食費や寮費などの生活費もかかるので、短期的なスパンで考えると負担が大きいと感じるかもしれません。
しかし、年収という中長期的なスパンで考えればむしろリターンのほうが大きく、「自分に対する先行投資」ととらえて海外の大学への進学を目指すという考え方もできます。
海外の大学と日本の大学を卒業した場合の平均年収の比較
ここからは、海外の大学と日本の大学を卒業した場合のそれぞれの平均年収を、年代と性別で分けて比較します。
なお、後述するデータはいずれも2016年に一橋大学の新見先生と秋庭先生によって発表された研究結果をもとにしています。
データは、オンライン上のアンケート調査によって収集されました。 そのデータのうち分析対象としたのは、日本の高校を卒業後、海外の大学を卒業し社会人経験のある方(3年以上の学部留学経験)と、日本の大学を卒業後、社会人経験のある方(留学未経験)です。
なお、このデータには日本国内の企業で働いた場合の年収だけではなく、海外の現地企業で働いた場合の年収も含まれる可能性があります。
このことからも、留学経験があることでキャリアの幅が広がると言えます。
参照元:一橋大学「大学・大学院留学経験がもたらす金銭的・非金銭的便益:留学経験者との比較分析に基づく一考察」
【年代別】海外の大学と日本の大学を卒業した場合
まずは、海外の大学と日本の大学を卒業した場合のそれぞれの平均年収を、年代別にチェックしていきましょう。
年代別の平均年収は、以下の表のとおりです。
【年代別】海外の大学と日本の大学を卒業した場合の平均年収
|
海外大卒 |
国内大卒 |
全体 |
547万円 |
449.1万円 |
50代以上 |
653.6万円 |
608.3万円 |
40代 |
564万円 |
470.8万円 |
30代 |
539.7万円 |
389.3万円 |
20代 |
350万円 |
290.8万円 |
海外の大学を卒業した30代の平均年収は539.7万円です。
日本の大学を卒業した30代の平均年収は389.3万円なので、約1.39倍の収入の差があることがわかります。
50代以上の場合でも、海外大卒者は653.6万円、国内大卒者は608.3万円で約1.07倍の収入の差が出ています。
年代が上がるごとに海外大卒と国内大卒間の収入の差が縮まっているのは、一般的に日本では年功序列による賃金体系がとられており、年齢とともに年収が高くなるからです。
ただし、現在では年功序列ではない企業も増えているので、ご自身が50代になったときには年代に関わらず、さらなる差が生まれているかもしれません。
当サイトを運営するアリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部の卒業生は、国際機関、グローバル企業をはじめ、各国政府やNPO団体など多種多様な業界へ就職しております。
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【男女別】海外の大学と日本の大学を卒業した場合
続けて、海外の大学と日本の大学を卒業した場合のそれぞれの平均年収を、男女別に見ていきましょう。
男女別の平均年収を、以下の表にまとめました。
【男女別】海外の大学と日本の大学を卒業した場合の平均年収
|
海外大卒 |
国内大卒 |
全体 |
547万円 |
449.1万円 |
男性 |
645万円 |
575.7万円 |
女性 |
439.1万円 |
330.7万円 |
女性に注目してみると、海外大卒者の平均年収は439.1万円です。
日本の大学を卒業した女性の平均年収は330.7万円なので、約1.33倍の収入の差があります。
これだけの収入の差がある理由としては、海外の大学を卒業した女性は外資系企業に勤めている方が多いという点が挙げられます。
また、外資系企業は、日系企業に比べると男女の賃金格差が小さいという特徴があるのも、収入に違いが出ている理由の1つです。
海外の大学を卒業すると年収が上がる理由
年代・性別問わず、海外大卒者のほうが国内大卒者よりも平均年収が高いことがわかりました。
それでは、なぜ海外の大学を卒業すると年収が上がるのでしょうか。
ここからは、海外の大学を卒業すると年収が上がる3つの理由を紹介します。
理由①高い英語力×専門知識が身につくため
海外の大学で過ごすと、卒業する頃には高い英語力が身についています。
海外の大学の授業では、基本的にグループディスカッションが行われます。
自ら積極的に発言していかなければ、適切な評価を受けられず単位を取得できません。
また、英語でエッセイを書き、何百ページものリーディングをこなすといった課題も乗り越えていく必要があります。
またアメリカの大学を例にすると、アメリカの教育環境は、世界のなかでも高水準であり、学べる専門分野も豊富にあります。
このように、海外の大学で学ぶことで、十分な英語力と専門分野の知識を証明するステータスを得られ、将来の選択肢が広がります。
理由②コミュニケーション能力が身につくため
コミュニケーション能力も、年収を上げるのに一翼を担っています。
留学先では、授業でもプライベートでも、母国語ではない英語で自分の意見や気持ちを伝える必要があります。
そのうえで、自分の主張ばかり優先するのではなく、相手の意図を理解し、円滑な意思疎通を図るスキルも不可欠です。
くわえて、英語圏には自分の意見や感情をストレートに伝える文化があり、日本のように相手の意図を汲み取る文化はないので、自己主張しなければ伝わりません。
日常的に英語で自分の意見を伝えつつ、相手の意見も尊重するように心がけていくと、コミュニケーション能力を伸ばせます。
2020年に内閣府が行った調査によると、企業が採用の際に求める人物像は「コミュニケーション能力が高い」が78.6%でもっとも多いことがわかりました。
次いで「協調性がある」が72.4%、「誠実である」が63.4%と、対人スキルを重視する企業が多いことがうかがえます。
このように、海外で培ったコミュニケーション能力を企業にうまくアピールできれば、年収アップにつながります。
理由③異文化への理解力があるため
異文化への理解力も、年収アップに役立ちます。
世界各地から多くの留学生を受け入れている海外の大学では、国や文化の異なる仲間たちと出会えます。
そのようなグローバルな環境で長期間過ごすと、考え方や習慣などが自分とは根本的に違うと感じるシチュエーションに遭遇することもあるでしょう。
自分の常識とは異なる考えを知り、多様な価値観を受け入れられるようになれば、視野も広くなります。
昨今、企業のグローバル化が進み、異文化を理解できる人材への需要が高まってきました。
就職活動や転職活動時に、異文化への理解力や国際感覚があることを示せば高収入が見込めます。
【国別】海外の大学への進学にかかる費用
ここまでは、海外の大学を卒業すると年収が上がる理由を紹介しました。
とはいえいくら年収アップが期待できるとはいっても、海外の大学への進学にかかる費用は気になるところですよね。
そこでここからは、海外の大学への進学にかかる費用を国別に紹介するので、留学先の選定にぜひお役立てください。
アメリカ
アメリカの大学への進学にかかる費用は、大学のレベルによって変わります。
1年間の授業料は、4年制の一般的な私立大学の場合は400万円程度、私立の名門大学になると700万円程度必要です。
アメリカの教育環境は、世界のなかでもトップクラスと言われており、人気の留学先として不動の地位を保っています。
留学生が世界中から集まってくるので、学生へのサポート体制が整っているのも安心です。
入学後に専攻を変更できたり、編入制度が整っていたりするなど、学生の興味関心に合わせた柔軟な学び方が提供されています。
カナダ
カナダの大学のほとんどは公立で、1年間の授業料は200万円程度です。
大学間のレベルの差がそれほど大きくなく、どの大学を選んでも質の高い教育を受けられます。
カナダの大学を卒業後は、就労許可プログラムを申請すれば最大3年間の就業が可能で、永住権も取得しやすいので、世界中から留学生が集まっています。
日本の高校から進学する場合、大学に直接入学するのではなく、2年制のコミュニティ・カレッジの大学編入コースから編入するのが一般的です。
イギリス
カナダと同様、イギリスの大学のほとんどは国立で、1年間の授業料は200万~250万円程度です。
高等教育審査機関が全大学に対して厳しい審査を行うので、クオリティの高い教育が提供されています。
日本やアメリカ、カナダとは教育システムが異なり、3年制が採用されています。
そのため、日本の高校から進学する場合は、ファウンデーションコースとよばれる、留学生向けに設けられたコースで約9か月間学習してからでなければ、進学できません。
オーストラリア
カナダ、イギリスに続いてオーストラリアの大学もほとんどが国立で、1年間の授業料は200万~300万円程度です。
連邦政府が各大学のカリキュラムを厳正にチェックしており、高い教育水準が保たれています。
教育システムはイギリスに準じて3年制が採用されており、1年次から専門分野の学習が始まります。
条件を満たせば日本の高校卒業後、直接入学できる大学も増えていますが、基本的にはファウンデーションコースとよばれる留学生向けの準備コースの受講が必要です。
なお、ファウンデーションコースでは、英語力を向上させるとともに、大学で専攻する分野の基礎知識やレポートの書き方などを学びます。
マレーシア
マレーシアの大学への進学にかかる費用は、公立と私立で差があります。
1年間の授業料は、公立大学の場合は30万円程度、私立大学であっても80万円程度です。
なお、イギリスから独立して約半世紀が過ぎてもなお、マレーシアはイギリスの教育システムの影響を強く受けているので、基本的に総合大学では3年制が採用されています。
マレーシアは、国を挙げて海外からの学生を受け入れており、アジアの留学先の一大拠点として注目されています。
多くのマレーシアの大学は、ほかの国の大学との提携が充実しており、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの提携大学への編入も可能です。
この制度を利用すると、欧米の大学に直接進学するよりも少ない費用で、欧米の大学の学位取得を目指せます。
フィリピン
フィリピンの1年間の授業料は、国公立大学は5万~10万円程度、私立大学は10万~50万円程度です。
私立大学の場合、都心のキャンパスになると授業料が高く、地方になるほど安くなります。
学費自体が安いうえに、ほかの留学先と比べると物価も安く生活費も抑えられるので、費用の負担を全体的に減らせます。
大学付属の語学学校もあるので、英語力に自信がない場合は、語学学校で英語力を強化してから大学に進学するのもよいでしょう。
海外の大学を卒業すると年収アップを目指せる
本記事では、海外の大学を卒業すると年収が上がるのは本当なのか、また年収が上がる理由を紹介しました。
海外の大学と日本の大学を卒業した場合のそれぞれの平均年収を比較すると、年代別と男女別の両方で、国内大卒者よりも海外大卒者の年収のほうが高いことがわかりました。
海外の大学を卒業すると、高い英語力と知識、企業が求めるコミュニケーション能力を証明できるので、高収入な仕事が期待できます。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部について
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部(以下、サンダーバード)は、1946年創立以来、75年以上の歴史を持つ、グローバルビジネスおよびグローバルマネジメントに特化した、高等教育機関です。
キャンパスには世界中から生徒が集まっており、その様子は「小さな国連」と呼ばれるほど。ダイバーシティな環境下で学ぶことにより、グローバルな視点や多文化への理解、協調性、そして将来のグローバルリーダーとしての力を養えます。
サンダーバードの卒業生たち
サンダーバードのアラムナイ(卒業生)は、世界約145ヶ国45,000人以上の卒業生からなり、その結びつきは他のビジネススクールでは見られない、非常に強固なものとして、世界的にも有名です。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校の紹介
サンダーバードが提供している「グローバルマネジメント学」「国際貿易学」の学士号を、日本でも学べる新プログラムがスタートしました。
日本国内にいながら、世界トップレベルのマネジメントスクールの授業を受け、アメリカの正規の大学の学士号を取得できます。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校は「外国大学の日本校」です
広島大学と75年以上の歴史をもつアリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院が連携した学士号プログラムです。
本プログラムは文部科学省により「外国大学の日本校」として指定を受けております。
「外国大学の日本校」については、文部科学省のホームページをご覧ください。
外国大学等の日本校の指定:文部科学省
プログラムについて
取得できる学士号はアリゾナ州立大学の「グローバルマネジメント学」と「国際貿易学」の2種類です。
「グローバルマネジメント学」では、グローバルな環境で活躍するためのマネジメント力を学べるプログラムとなっています。
「国際貿易学」ではグローバルにビジネスを行うための政治的・文化的・経済的側面への理解を深めながら、国際貿易分野で活躍するために必要なスキルを学びます。
本プログラムでは、1・2年次を広島大学のキャンパスで、3・4年次をアリゾナ州で学びます。 広島を含め、4年間全ての授業が英語で行われますので、国内にいながらでもグローバルな環境で世界有数の大学によるグローバルマネジメントを学ぶことが可能です。
また、「国際貿易学」の学位取得後はアメリカでのOPT(Optional Practical Training)を取得し、卒業後アメリカで3年間の就労資格を得られます。
サンダーバードの国際貿易学はQS 国際貿易学ランキングにて「世界第1位」を獲得
サンダーバードの国際貿易学は、QSワールド大学ランキングの国際貿易学専攻で世界第1位を獲得しました。
QSワールド大学ランキングでは、修士課程(大学院)を専攻別に分け、以下の各項目について評価・選定したランキングを毎年発表しています。
- プログラムの内容
- 革新的な教育方法
- 学生が就職できるように大学がどのように準備しているか
サンダーバードは上記の各項目で、最高評価を獲得しています。
卒業後の進路について
サンダーバードの卒業生は、国際機関、グローバル企業をはじめ、各国政府やNPO団体など多種多様な分野において、世界を舞台に活躍。
在学中の進路支援にも力を入れており、世界中の卒業生ネットワークを活用した進路支援を行っています。
また、本学の修士課程であるMGM(Master of Global Management)プログラムへ進学する学生も多くいます。 ※MGMとは、通常のMBAではなく、全てのクラスがグローバルな視点で構成され、 “第4次産業革命の時代に必要とされ、本当の意味でグローバルに活躍できる真のリーダーを育てる”ことを目的とした修士号です。
将来の選択肢を広げるためにも、グローバルな視点で構成されたプログラムを日米両キャンパスで学べるユニークな形の留学に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
サンダーバードでは、日本オフィスにて日本人スタッフが個別に留学サポートの相談を受け付けています。将来グローバルに活躍したいなど、海外にご興味のある学生の方は、ぜひご相談ください!
【外国大学の日本校認定】アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部 広島大学グローバル校の詳細はこちら
コラム監修者
<略歴>
信州大学グリーン社会協創機構特任教授。アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院MBA。ハーバード大学大学院サステナビリティ専攻修士。東京大学教養学部国際関係論専攻卒。東証プライム上場企業、機関投資家、スタートアップ企業、ベンチャーキャピタルの社外取締役やアドバイザリーを多数務める。環境省、農林水産省、厚生労働省のESG分野の委員会委員を複数兼任。Jリーグ特任理事、ウォーターエイドジャパン理事、MASHSING UP理事。留学経験を活かしたグローバル視点での戦略立案を得意とする。国内外のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌で解説を担当。
<主な著書>
『ネイチャー資本主義』(PHP新書)
『超入門カーボンニュートラル』(講談社+α新書)
『データでわかる 2030年 地球のすがた』(日経プレミアシリーズ)
『ESG思考』(講談社+α新書)