アメリカと日本の就職活動の違い9選
日本では、時期になると髪を真っ黒に染めた学生が初々しいリクルートスーツに身を包み、一斉に就職活動を始める様子が見られます。
しかしこれは日本特有の光景で、海外からするとかなり異様な光景に見えるそう。 もちろん海外の学生も、日本の学生と同じように就職活動を行いますが、そこにはさまざまな違いがあるのです。とくにアメリカの就職活動と比べると、「ここまで違うの!?」と驚くはず。
本記事では、アメリカと日本の就職活動との違いや就活の流れについて詳しく解説します。
目次
アメリカと日本での就職活動の違い
アメリカと日本における就職活動には、たくさんの違いがあります。
今回は、その中からとくに日本人からすると意外に感じる違いをまとめました。
アメリカでは新卒一括採用が無い
日本では、3月に卒業した新入社員がその春一斉に入社するのが一般的ですが、アメリカには「新卒採用」という概念がありません。
日本の学生は大学であれば、3年生の夏頃から翌年春の就職に向けて就職活動をスタートさせますが、アメリカではそもそも在学中に就職活動をするという考え方が存在しないためです。
アメリカでは、在学中は勉学に集中し、卒業後に就職先を探すという考え方が定着しているため、企業側としても新卒採用という形で応募することがないのです。
また、自分がやりたい仕事かどうかを見極めるために、長期的なインターンシップに参加する学生も多くいます。
通年採用を行っている
アメリカでは新卒枠という考えがないのと同様に、決まった就職時期というものも存在しないのが特徴です。
日本のように学生が一斉に動き出すことはなく、個々が働きたいと考えたタイミングでそれぞれの就職活動が始まるため、採用側も1年を通して採用するスタイルをとっています。
日本よりも学歴が重視される
「日本はまだまだ学歴社会」などと言われていますが、意外にもアメリカではそれ以上に卒業した大学や専攻が問われます。 中には、企業側が定めるレベル以上の大学を卒業していないと、採用試験すら受けられないケースも珍しくありません。
実力社会であるアメリカでは何より即戦力となる人材が求められ、面接でも「いい大学、大学院=能力が高い」と判断されるのです。
また、職種によって給料体系が大きく異なるのもアメリカならではのシステムです。 アメリカでは採用基準として「KSA」が用いられるのが一般的です。
KSAとは「Knowledge(知識)」「Skill(スキル・技術)」「Ability(能力)」の頭文字を合わせたことばで、簡単に言えば、これらがなくてもできる仕事は給料が低く、これら3つの要素の必要性が高い仕事ほど給料が高額になります。
その点から考えても、専門的な知識やスキル、それに伴う能力を養うためには有名大学に入学し、優秀な教授のもとで確かな知識と経験を身に付けることが必須条件となるため、必然的に学歴が重視されることにつながります。
大きな企業への就職を目指す場合は、できれば博士号、最低でも修士号を取得していなければ難しいでしょう。
大学での成績、学部、専攻も重要視される
日本では「有名大学卒業=優秀」と判断される傾向にあり、採用面接でも志望動機に加えて入社後は「どんなことがしたいのか」といったことを尋ねられます。
一方、アメリカでは有名大学を出ているだけでなく、在学中の成績や学部、何を専攻していたのかなどその中身も重要視され、入社後は「何ができるのか」というところに重点が置かれます。
つまり、日本の企業面接が個々の適性や将来性を見極めるための選考方法であるのに対し、アメリカではあくまでも即戦力として「今」企業の利益になる人材を求めるための面接だといえるでしょう。 アメリカでは、古くからさまざまな人種の人々がそれぞれ違ったバックグラウンドを持って暮らしていることから、出身地や思想、信教による差別がなく、実力さえあればどんな人も平等に成功できるシステムができているのも理由の1つです。
ただし、努力次第でどんな人でも成功できるからこそ、企業の採用基準は日本に比べ高く設定されています。 ただの経験談では説得力に欠けるため、アメリカの学生は1つでも多くの資格、学位を取得し、目に見える形で成果を残そうと卒業するまで努力し続けるのです。
奨学金を取得していると評価される
日本人からすると少しイメージしにくいところですが、アメリカでは奨学金を取得することで、採用面接で高評価を得られることがあります。 実はアメリカには非常に多くの奨学金制度が存在し、現地学生の約7割が何らかの形で奨学金を受けています。
日本の大学よりも学費が高く、名門私立大学ともなると年間の授業料が500万円を超えることも珍しくないのです。
返済義務が発生する奨学金とそうでない奨学金があるのは日本のシステムと同じですが、アメリカではその返済義務のない奨学金の給付条件が群を抜いて厳しく、原則として現地の成績評価システム「GPA(Grade Point Average)」で3.5ポイント以上を獲得しなければなりません。 GPAは、一言で言うと「成績の平均スコア」のことで、アメリカでは大学入学の際に高校3年間の成績を数値化して提出することになっています。
アメリカでは学校の成績はA・B・C・D・Fの5段階で表され、Aが4ポイント、Fが0ポイントなので、3年間オールAで平均が4ポイントということになります。 その中で3.5ポイント以上を獲得するには、常に学年トップでいる必要があることから、返済義務のない奨学金を獲得した学生は、採用時にも優秀であると評価されるのです。
ポジション別で採用される
日本の求人を見ると総合職や一般職といった大きな括りでの募集が目立ちますが、アメリカでは部署や職種ごとに募集するのが一般的です。即戦力となる人材を求めるアメリカらしい採用方法で、応募時には必須となる学位や資格、経験やスキルなどが事細かく指定されています。
アメリカの企業では、採用から昇格、解雇まで部署の責任者に一任されているため、採用面でも実際に上司にあたる人物と面接を行うことになります。
即戦力が求められる
一にも二にも即戦力を重視するアメリカでは、実務経験の有無が採用に大きく影響します。
日本人の感覚からすると「卒業したばかりなのだから経験がないのが当たり前」と思ってしまいますが、アメリカではほぼ100%に近い学生が、将来を見据えてインターンシップに参加します。 そのため、就職する時には「実務経験がある」のが当たり前です。
アメリカの就職活動では学歴が重視されるとご紹介しましたが、それだけでは十分とは言えず、在学中に学んだことをいかにインターンシップで実践的に活かすことができたのか、その中でどれだけ高い能力を身に付けたのかという点も欠かせないポイントなのです。
選考フローすべてがオンラインで完結する
日本では、未だに紙媒体の履歴書を企業に送付するというスタイルが主流ですが、アメリカではほとんどの企業でオンライン採用を導入しています。
これは、単純にアメリカの方が進んでいるからという理由ではなく、国土が広いアメリカでは移動に時間とコストがかかり、わざわざ対面で面接を行うのは非効率だからです。
また、国内でも時差があるため、採用する側と応募する側双方の負担やリスクを考えて、履歴書の提出から採用面接までオンラインで行っています。
基本的にエントリーはwebへのアップロードやメール、面接はSkypeやZoomなどを利用したスタイルが多いようです。
転職回数が多くても問題ない
アメリカ人の生涯における平均転職回数は10回以上と言われています。
日本人からすると驚く回数ですが、そもそもアメリカではどんな形であっても働くと就労経験とみなされ、例えば在学中に2つのアルバイトをすれば転職回数が1回とカウントされるため、自ずと転職回数が多くなります。 また、アメリカでは終身雇用というシステムが存在せず、いくら優秀で昇格に値すると評価されていても、そのポストに空きが出ない限り昇格は不可能です。
そのため、社内で待ち続ける以外は、他の会社にチャンスを求めるしか方法がないのです。
もちろんキャリアアップだけが転職回数に繋がっているわけではありません。 買収や合併、人員整理などが頻繁に行われるアメリカでは、業績悪化やオフィス閉鎖による解雇でやむなく転職せざるを得ない人が後を絶たないのも事実です。
そういったさまざまな背景から、アメリカでは転職回数が多いからといって就職活動に不利になることはありません。
アメリカ就活の流れ
アメリカでは、就職したい企業を見つけたらまずwebやメールでエントリーし、指定の方法で履歴書を提出します。
履歴書は原則パソコンなどデジタルツールを使用して作成しますが、日本では学歴や職歴を古い方から記載するのに対し、アメリカでは新しい情報から記入していく点に注意が必要です。
履歴書を提出後、企業から選考の通過、あるいは面接日時などが記載されたメールが届いたら、実際にオンライン面接を行うのがアメリカにおける就職活動の一般的な流れとなります。
学生のうちから経験を積んで即戦力となる人材を目指そう
いかがでしたでしょうか。 この記事を読んでいただくことで、アメリカにおける就職活動事情と日本の就活との違いについてご理解いただけたと思います。
新卒という概念がないこと、将来性ではなく即戦力としての能力が求められることなど、アメリカと日本ではさまざまな違いがあります。
アメリカで就職活動を行う際は、日本人としての価値観を一旦忘れ、周りの生徒と一緒に大学や大学院の在学中からインターンシップなどで経験を積むことが大切です。
採用面接は全てオンラインで行われるため、緊張しないようオンラインに慣れるための練習もしておきましょう。
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アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部について
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部(以下、サンダーバード)は、1946年創立以来、75年以上の歴史を持つ、グローバルビジネスおよびグローバルマネジメントに特化した、高等教育機関です。
キャンパスには世界中から生徒が集まっており、その様子は「小さな国連」と呼ばれるほど。ダイバーシティな環境下で学ぶことにより、グローバルな視点や多文化への理解、協調性、そして将来のグローバルリーダーとしての力を養えます。
サンダーバードの卒業生たち
サンダーバードのアラムナイ(卒業生)は、世界約145ヶ国45,000人以上の卒業生からなり、その結びつきは他のビジネススクールでは見られない、非常に強固なものとして、世界的にも有名です。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校の紹介
サンダーバードが提供している「グローバルマネジメント学」「国際貿易学」の学士号を、日本でも学べる新プログラムがスタートしました。
日本国内にいながら、世界トップレベルのマネジメントスクールの授業を受け、アメリカの正規の大学の学士号を取得できます。
アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校は「外国大学の日本校」です
広島大学と75年以上の歴史をもつアリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院が連携した学士号プログラムです。
本プログラムは文部科学省により「外国大学の日本校」として指定を受けております。
「外国大学の日本校」については、文部科学省のホームページをご覧ください。
外国大学等の日本校の指定:文部科学省
プログラムについて
取得できる学士号はアリゾナ州立大学の「グローバルマネジメント学」と「国際貿易学」の2種類です。
「グローバルマネジメント学」では、グローバルな環境で活躍するためのマネジメント力を学べるプログラムとなっています。
「国際貿易学」ではグローバルにビジネスを行うための政治的・文化的・経済的側面への理解を深めながら、国際貿易分野で活躍するために必要なスキルを学びます。
本プログラムでは、1・2年次を広島大学のキャンパスで、3・4年次をアリゾナ州で学びます。 広島を含め、4年間全ての授業が英語で行われますので、国内にいながらでもグローバルな環境で世界有数の大学によるグローバルマネジメントを学ぶことが可能です。
また、「国際貿易学」の学位取得後はアメリカでのOPT(Optional Practical Training)を取得し、卒業後アメリカで3年間の就労資格を得られます。
サンダーバードの国際貿易学はQS 国際貿易学ランキングにて「世界第1位」を獲得
サンダーバードの国際貿易学は、QSワールド大学ランキングの国際貿易学専攻で世界第1位を獲得しました。
QSワールド大学ランキングでは、修士課程(大学院)を専攻別に分け、以下の各項目について評価・選定したランキングを毎年発表しています。
- プログラムの内容
- 革新的な教育方法
- 学生が就職できるように大学がどのように準備しているか
サンダーバードは上記の各項目で、最高評価を獲得しています。
卒業後の進路について
サンダーバードの卒業生は、国際機関、グローバル企業をはじめ、各国政府やNPO団体など多種多様な分野において、世界を舞台に活躍。
在学中の進路支援にも力を入れており、世界中の卒業生ネットワークを活用した進路支援を行っています。
また、本学の修士課程であるMGM(Master of Global Management)プログラムへ進学する学生も多くいます。 ※MGMとは、通常のMBAではなく、全てのクラスがグローバルな視点で構成され、 “第4次産業革命の時代に必要とされ、本当の意味でグローバルに活躍できる真のリーダーを育てる”ことを目的とした修士号です。
将来の選択肢を広げるためにも、日米両キャンパスでグローバルな視点で構成されたプログラムを学べるユニークな形の留学に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
サンダーバードでは、日本オフィスにて日本人スタッフが個別に留学サポートの相談を受付ています。将来グローバルに活躍したいなど、海外にご興味のある学生の方は、ぜひご相談ください!
【外国大学の日本校認定】アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部 広島大学グローバル校の詳細はこちら
コラム監修者
<略歴>
信州大学グリーン社会協創機構特任教授。アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院MBA。ハーバード大学大学院サステナビリティ専攻修士。東京大学教養学部国際関係論専攻卒。東証プライム上場企業、機関投資家、スタートアップ企業、ベンチャーキャピタルの社外取締役やアドバイザリーを多数務める。環境省、農林水産省、厚生労働省のESG分野の委員会委員を複数兼任。Jリーグ特任理事、ウォーターエイドジャパン理事、MASHSING UP理事。留学経験を活かしたグローバル視点での戦略立案を得意とする。国内外のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌で解説を担当。
<主な著書>
『ネイチャー資本主義』(PHP新書)
『超入門カーボンニュートラル』(講談社+α新書)
『データでわかる 2030年 地球のすがた』(日経プレミアシリーズ)
『ESG思考』(講談社+α新書)