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公開日:2023.07.06 / 最終更新日:2023.10.19

帰国子女入試で大学受験するメリット・デメリットを徹底解説

保護者の都合で海外に住んだ経験のある高校生が日本の大学を受験する際、帰国子女入試を受けられる場合があります。
しかし、選べる入試方法はほかにもあるため、どれを選ぶのが得策なのかわからず、お困りではないでしょうか。

そこで本記事では、帰国子女入試で大学を受験するメリット・デメリットや、そのほかの入試方法を紹介します。
「どの受験方法を選ぶべきなのか知りたい」とお考えの学生さんは、参考にしてみてくださいね。

外国大学の日本校

 

目次

帰国子女の定義

帰国子女とは、保護者の仕事や留学などの都合で海外に転居したあと、再び自国に転居した子どものことをいいます。
そのため、自らの意思で海外へ転居した場合は、帰国子女の定義には当てはまりません。

教育機関においては、上記の条件にくわえて、以下のように海外滞在期間にも定義があります。

総務省による帰国子女の定義

「帰国児童生徒」とは、海外勤務者等の子供で、引き続き 1 年を超える期間海外に在留し、各年度の 4 月 1 日から 3 月 31 日までに帰国した児童生徒をいう。

引用元:総務省『報道資料 帰国児童生徒数の推移(注)2』p.77

総務省の定義では、1年間連続して海外に住んでいなければ、帰国子女とは認めないとされています。
たとえば半年間アメリカに滞在してから日本に転居し、再びアメリカで半年間暮らしたとしても、1年間滞在したことにはなりません。

ただし、日本の大学では、帰国子女入試を受ける条件として海外滞在期間を2年以上としている学校が多い傾向にあります。
総務省が1年と定義していたとしても、大学の定義によっては帰国子女枠を利用できないケースもあるので注意が必要です。

なかには滞在期間が1年未満でも帰国子女枠を認めている私立大学もあるので、各大学の定義をよく調べ、ご自身が条件に当てはまっているのか確認しましょう。

帰国子女の高校生が大学受験する際の選択肢

帰国子女の高校生が日本の大学を受験する際は、主に4つの入試方法から選択できます。
3つは帰国子女枠を利用した入試、1つは日本の高校生と同じ一般枠での入試です。

帰国子女枠を利用するには、日本に住んでいた頃を含めた合計12年間の学校教育のうち、最終学年を含む2年以上の教育を海外で受け、卒業(見込み)している必要があります。
また卒業してから試験を受けるまでの年数は、2年未満であることが条件になっている場合が多いのですが、大学によって入試を受けられる条件は異なります。

では、下記にて一つずつ見てみましょう。

【帰国子女枠】帰国子女入試(帰国生入試)

帰国子女入試は、保護者のやむを得ない事情により、日本で教育を受けられなかった生徒を対象とした、日本国内の生徒とは別枠で実施されている入学試験のことです。
選考方法は、大きく分けて3通りあります。

【帰国子女入試の選考方法】

  1. 現地成績重視型
  2. 入試成績重視型
  3. 現地・入試折衷型

「現地成績重視型」は、出願書類として国家統一試験やTOEFLなどの成績証明書の提出を求められ、書類選考に受かったら、面接や小論文で合否を判断されるという選考方法です。

「入試成績重視型」は、各大学の入学試験の成績によって合否が決まる選考方法です。
ただし、現地の高校での成績が重視されないわけではありません。
この選考方法による入試は、帰国子女入試を実施する多くの大学で実施されています。

「現地・入試折衷型」は、現地での成績をもとに書類選考を行い、その後大学の入学試験の結果で合否を判断する選考方法です。

なお、帰国子女枠での入試は、一般的な入学試験とは異なり、9月から翌年3月までの半年以上にわたって行われます。
また国公立大学は「11~12月」と「2~3月」の2つの期間で入試が実施されます。

【帰国子女枠】総合選抜型入試(旧AO入試)

総合選抜型入試は自己推薦入試ともよばれ、2020年度入試まではAO入試という名称でした。
アドミッションポリシー(大学側が求める人物像)と合致した生徒を探すために、提出書類や小論文、面接などを組み合わせて、時間をかけて生徒を評価・選抜する入試方式です。

帰国子女入試に比べれば、海外での滞在期間や帰国後の経過年数に縛りがないケースが多く、比較的幅広い方が受けられる試験といえます。
在籍していた高校からの推薦がなくとも、海外での経験や資格、英語力を活かしてワンランク上の大学を目指すことができます。

しかし、誰でも簡単に合格できるわけではありません。
発想力や行動力、プレゼンテーション能力など、筆記試験以外の能力で評価されるため、志望理由書や小論文、面接に向けて入念に準備しておきましょう。

【帰国子女枠】公募推薦入試

公募推薦入試は、在籍していた高校からの推薦を利用して受験する方法です。

推薦枠には「公募制一般推薦」と「公募制特別推薦選抜」の2種類があります。
前者では大学側が提示する条件とのマッチ度と評定平均値、後者ではスポーツや文化活動での活躍を評価されます。

それにくわえて、志望理由書や小論文、高校側が用意する調査書などの結果でも判断されるため、現地の高校に入学した時点から準備を進めなければなりません
用意する書類も多いので、着実なスケジュール管理がカギとなってきます。

【一般枠】一般入試

帰国子女も、日本の高校生と同じように一般入試を受けることが可能です。
ただし、受験内容は日本の高校で教えるカリキュラムに沿って作られているため、海外で異なるカリキュラムを勉強してきた生徒にとっては、難易度が上がってしまうでしょう。

なお、一般入試が行われる時期は1月下旬~3月上旬頃と、帰国子女枠での入試とは異なるので、その点にも注意が必要です。

帰国子女入試で大学を受験するメリット

帰国子女入試と一般入試、どちらを受けたほうが有利になるのか気になりますよね。
ここからは、帰国子女入試を選ぶメリットを紹介します。

メリット①一般試験よりも競争率が低い

大学の帰国子女枠で入学できる定員数は少ないことから、かえって倍率が高いのではないかとお考えになる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、帰国子女の定義に当てはまる生徒はそこまで多くないため、一般入試を受けるよりも倍率が低く有利になる傾向にあります。

ただし、試験の難易度は一般入試と同等なので、試験に向けた準備は必須です。

メリット②試験科目が少ないので負担が減る

帰国子女入試は、受けなければならない試験科目が一般入試に比べて少ないため、試験勉強の負担も軽減できます。

一般入試の場合、私立大学では5教科のうち3科目、国公立大学では5教科7科目の受験が必要です。

その一方、帰国子女入試は英語と小論文、面接のみで済む大学がほとんどです。
このほかに、理系であれば数学・理科、文系であれば地歴・公民から1科目を選ばせる大学もありますが、一般入試に比べると試験科目は少なく済みます。

メリット③準備期間が短くて済む

先述のように、帰国子女入試は試験科目が少ないため、比較的短期間で準備できます。
日本の高校生は、2年生の夏頃から受験勉強を開始し、3年生の1~3月頃に入試を受けます。
本番に至るまで、おおよそ1~2年ほどかけて準備を進めなければなりません。

しかし、帰国子女入試であれば、科目が少ないぶん、半年~1年程度の準備期間でも合格できる大学があります
早めに準備を始めれば、各科目にじっくり時間をかけられるのも、大きなメリットです。

帰国子女入試で大学を受験するデメリット

メリットが多い帰国子女入試ですが、デメリットもあります。

デメリット①出願条件が厳しい

そもそも帰国子女枠を利用して出願するための条件が厳しく、好きな大学を選んで受験できるわけではないという点は、デメリットといえます。

また、TOEFLやIELTSなどの英語のスコアを求められるケースが多く、その合格基準も高く設定されています。
もし帰国子女入試で難関大学を受験するのであれば、TOEFLで120点満点中、100点以上を取らなければ、一次試験の通過は難しいでしょう。
100点以下でも合格できる大学もありますが、それでもかなり高度な英語力を求められるという事実は変わりません。

デメリット②逆転合格できない

帰国子女入試で合否を判断する際にもっとも重きが置かれているのは、英語力です。
そのため、たとえほかの科目や小論文、面接で健闘したとしても、英語力がなければ逆転合格できないケースがほとんどです。

その点、一般入試であれば、自信がない教科があったとしても、ほかの教科で取り戻せる可能性があります。

デメリット③受験対策が難しい

帰国子女入試は受ける人数の少なさから、受験対策に必要な情報が手に入らないところもデメリットといえます。
一般入試であれば、学校の先生や先輩から情報を得ることができますが、帰国子女入試は経験者が少なく、アドバイスをもらうのもひと苦労です。

練習相手を必要とする面接試験があるのも、受験対策を難しくしている原因です。
入試問題も年度によってばらつきがあるため、過去問を参考に対策しようにも、山が当たるとは限りません。
1人では対策しきれないと思ったら、帰国子女入試に特化した予備校を探して、相談してみるとよいでしょう。

デメリット④書類の準備に時間がかかる

帰国子女枠で入試を受けるには、用意しなければならない書類が一般枠に比べて多いところも難点です。
海外の高校に通い、卒業したことを証明する書類や、英語力を証明する書類、小論文など、準備にかなりの時間を要します。

独自のレポート課題の提出を求める大学もあるため、期限に間に合うように用意することと、読解力や文章力を鍛えておく必要もあります。

帰国子女入試で大学を受験する際に必要なTOEFL・IELTSのスコアの目安

帰国子女入試では、英語力を証明するためにTOEFLやIELTSなどのスコアを求められます。
ここからは、帰国子女枠で受験するために知っておきたい、英語試験のスコアの目安を紹介します。

TOEFLのスコア

TOEFLであれば最低でも60~80点以上は取得したいところです。
たとえば、ある有名私立大学では79点以上、さらに難関大学となると、最低基準を公表していないところが増えますが、目安としては100~105点ほどと言われています。

IELTSのスコア

IELTSの場合は、6.5~7.0以上を目指しましょう。

難関大学ではIELTSのスコアで最終合否を決める場合があるため、なるべく高いスコアをとったものを提出しましょう。

TOEFLとIELTSのどちらを受験すればいいの?

ところで、TOEFLかIELTSのどちらを受験したらよいのか迷う方もいらっしゃいますよね。
結論、どちらを選んでも問題ありません。
TOEFLがアメリカ英語、IELTSがイギリス英語という違いがありますが、両者には英語の能力を測れる試験という点では差異がないためです。

ただし、出願したい大学がいずれか片方しか採用していない場合もあるため、あらかじめ確認しておかなければなりません。

また両者の試験方法も異なるため、ご自身の得意なほうを選ぶとよいでしょう。
たとえば、TOEFLはコンピューター試験のみなのに対して、IELTSは筆記試験とコンピューター試験のどちらかを選べます。
またスピーキングテストも、TOEFLはコンピューターに音声を録音する形式ですが、IELTSは試験官と対面で会話する形式となっています。

帰国子女入試を受ける際の注意点

帰国子女の高校生が日本の大学を受験する際、帰国子女入試と一般入試のどちらを受験するのかは、なるべく早く決断を下さなければなりません。
どちらの試験を受けるのかによって、入試の時期も対策方法もまったく異なるためです。

帰国子女入試を受けるのであれば、現地の高校に入学した時点で、国家統一試験やTOEFL、IELTSなどの試験勉強を始めないと、合格率がグッと下がってしまうでしょう。
現地の高校での成績も、帰国子女入試を受ける際に合否を決める材料として提出を求められる場合が多くあります。
さらに、小論文では国語の読解力や文章力も試されるため、現地にいても国語の勉強は続けておくことをおすすめします。

もし一般入試を受けるのであれば、日本の高校のカリキュラムに合わせた受験勉強が必須です。
日本の高校生に比べて不足を補わなければならない科目も多いため、早めに勉強を始めましょう。

帰国子女入試を受けると決めた場合のスケジュール

現地の高校を6月に卒業する場合は、以下のようなスケジュールで準備を進めるとよいでしょう。

【帰国子女入試を受ける際のスケジュール】

時期 準備すること
高校入学
  • 各大学の帰国子女入試の受験資格を読み、自分が条件に当てはまるのかを確認する
  • 国家統一試験やTOEFLなどの勉強を開始する
入試年度の3~7月
  • 各大学の入試要項を取り寄せて、卒業(見込み)証明書や在籍期間証明書、推薦書などを準備する
6月
  • 帰国する
  • 帰国子女入試に特化した予備校などに通う
7~9月
  • 小論文・面接対策を始める
9月~
  • 私立大学の入試開始に合わせて受験する
11月
  • 国公立大学の入試開始に合わせて受験する

上記は一例なので、国語力やそのほかの教科、面接などに不安がある場合は、試験対策の開始時期も早まります。

帰国子女入試には受験資格があるので、早めに判断して試験本番に備えよう

本記事では、帰国子女入試で大学受験するメリット・デメリットや、そのほかの入試方法などを紹介しました。

帰国子女入試を受けるためには、大学が定めている受験資格をクリアしていなければなりません。
また帰国子女枠を狙う場合の入試にもさまざまな種類があるので、それぞれにどのような準備が必要なのかを確認し、なるべく早めに対策を始めることが大切です。

外国大学の日本校

アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部について

アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部(以下、サンダーバード)は、1946年創立以来、75年以上の歴史を持つ、グローバルビジネスおよびグローバルマネジメントに特化した、高等教育機関です。

キャンパスには世界中から生徒が集まっており、その様子は「小さな国連」と呼ばれるほど。ダイバーシティな環境下で学ぶことにより、グローバルな視点や多文化への理解、協調性、そして将来のグローバルリーダーとしての力を養えます。

サンダーバードの卒業生たち

サンダーバードのアラムナイ(卒業生)は、世界約145ヶ国45,000人以上の卒業生からなり、その結びつきは他のビジネススクールでは見られない、非常に強固なものとして、世界的にも有名です。

アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校の紹介

サンダーバードが提供している「グローバルマネジメント学」「国際貿易学」の学士号を、日本でも学べる新プログラムがスタートしました。

日本国内にいながら、世界トップレベルのマネジメントスクールの授業を受け、アメリカの正規の大学の学士号を取得できます。

プログラム詳細はこちら

アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部広島大学グローバル校は「外国大学の日本校」です

広島大学と75年以上の歴史をもつアリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院が連携した学士号プログラムです。

本プログラムは文部科学省により「外国大学の日本校」として指定を受けております。
「外国大学の日本校」については、文部科学省のホームページをご覧ください。
外国大学等の日本校の指定:文部科学省

プログラムについて

取得できる学士号はアリゾナ州立大学の「グローバルマネジメント学」と「国際貿易学」の2種類です。

「グローバルマネジメント学」では、グローバルな環境で活躍するためのマネジメント力を学べるプログラムとなっています。

「国際貿易学」ではグローバルにビジネスを行うための政治的・文化的・経済的側面への理解を深めながら、国際貿易分野で活躍するために必要なスキルを学びます。

本プログラムでは、1・2年次を広島大学のキャンパスで、3・4年次をアリゾナ州で学びます。 広島を含め、4年間全ての授業が英語で行われますので、国内にいながらでもグローバルな環境で世界有数の大学によるグローバルマネジメントを学ぶことが可能です。

また、「国際貿易学」の学位取得後はアメリカでのOPT(Optional Practical Training)を取得し、卒業後アメリカで3年間の就労資格を得られます。

サンダーバードの国際貿易学はQS 国際貿易学ランキングにて「世界第1位」を獲得

サンダーバードの国際貿易学は、QSワールド大学ランキングの国際貿易学専攻で世界第1位を獲得しました。
QSワールド大学ランキングでは、修士課程(大学院)を専攻別に分け、以下の各項目について評価・選定したランキングを毎年発表しています。

  • プログラムの内容
  • 革新的な教育方法
  • 学生が就職できるように大学がどのように準備しているか

サンダーバードは上記の各項目で、最高評価を獲得しています。

詳しくはこちら

卒業後の進路について

サンダーバードの卒業生は、国際機関、グローバル企業をはじめ、各国政府やNPO団体など多種多様な分野において、世界を舞台に活躍。
在学中の進路支援にも力を入れており、世界中の卒業生ネットワークを活用した進路支援を行っています。

また、本学の修士課程であるMGM(Master of Global Management)プログラムへ進学する学生も多くいます。 ※MGMとは、通常のMBAではなく、全てのクラスがグローバルな視点で構成され、 “第4次産業革命の時代に必要とされ、本当の意味でグローバルに活躍できる真のリーダーを育てる”ことを目的とした修士号です。

将来の選択肢を広げるためにも、グローバルな視点で構成されたプログラムを日米両キャンパスで学べるユニークな形の留学に挑戦してみるのはいかがでしょうか。

サンダーバードでは、日本オフィスにて日本人スタッフが個別に留学サポートの相談を受け付けています。将来グローバルに活躍したいなど、海外にご興味のある学生の方は、ぜひご相談ください!
【外国大学の日本校認定】アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部 広島大学グローバル校の詳細はこちら

コラム監修者

監修者の写真

夫馬 賢治Kenji Fuma

株式会社ニューラル

代表取締役CEO

<略歴>

信州大学グリーン社会協創機構特任教授。アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院MBA。ハーバード大学大学院サステナビリティ専攻修士。東京大学教養学部国際関係論専攻卒。東証プライム上場企業、機関投資家、スタートアップ企業、ベンチャーキャピタルの社外取締役やアドバイザリーを多数務める。環境省、農林水産省、厚生労働省のESG分野の委員会委員を複数兼任。Jリーグ特任理事、ウォーターエイドジャパン理事、MASHSING UP理事。留学経験を活かしたグローバル視点での戦略立案を得意とする。国内外のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌で解説を担当。

<主な著書>

ネイチャー資本主義』(PHP新書)

超入門カーボンニュートラル』(講談社+α新書)

データでわかる 2030年 地球のすがた』(日経プレミアシリーズ)

ESG思考』(講談社+α新書)

 

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